京都市では7月10日より、祇園祭(前祭)の山鉾建てが始まりました。祇園祭は京都市中京区を中心に行われる祭りです。 平安時代の863年(貞観5年)、神泉苑で行われた御霊会が起源で、室町時代に四条室町周辺に商工業者の自治組織「両側町」が成立すると、町ごとに趣向を凝らした 山鉾が巡行するようになったと言われます。この祭がずっと続いてきたのは、この地域に根ざした人びとの生活がずっと続いてきたからです。華やかな祭りの土台には、普通の人びとの普通のくらしがあります。京都好きのみなさんには、ぜひそこにも目を向けていただきたいと思います。『京都 中京民商 商人・職人 生活史』は中京区で普通に商売をして普通に暮らしてきた人たちの語りを収録した本です。祇園祭のことは直接は出てきませんが、祭りを支えてきた生活文化のようなものを感じ取っていただけるはずです。ほかでは読めない話がいっぱいです。ぜひ多くの人に読んでいただきたいのですが、増刷に向けての支援が伸び悩んでいます。多くの人に届くよう、ぜひ拡散をよろしくお願いします。
『京都 中京民商 商人・職人 生活史』には34人の中京民商会員の商売・人生についての語りを収録しています。タイトルをご紹介します。面白そうじゃないですか? ほかでは絶対に読めない話ばかりです。気になった方はぜひ購入して下さい。定価よりも少しお安くご購入いただけます。自費出版で部数の限られた本です。これ以上の増刷の予定はありません。 確実に入手したい方はこの機会をお見逃しなく! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・美容室行ったら、「稲場さん、漫画になってるねぇ!」とか言われて、「ええっ、知らん、知らん!」とか言って、見たらほんまに、なんか、うちでのエピソードが描かれてて。(古書店)そのときに私は「本を作る仕事がしたい」って言ったんですよ。あそこで「本を書く仕事がしたい」って言わなかった私は、自分のことよく分かってたんやなと思うんですけど。(企画編集)それ見たら、全身の血が逆流するような感覚で「私がやるのはこれだ!」って思ったんです。(京焼・清水焼絵付師)とりあえず、父親には負けんとこ、という気合ですね。(とんかつ店)だから、あんなコロナなんかでお休みがずっと続いてたときに、やっぱり私もお客さんを心配してたんですけど、お客さんも私を心配しててくれはって。(居酒屋)方針じゃないけど、こういうふうなやり方で、そこそこやっていけるんじゃないかなってのが、できてきましたね。(喫茶店)浦安で働いていたころですが、僕、向こうでもずっと京都弁しゃべっていたんです。「京都のお兄ちゃん」いうことで、それなりに人気があったんですけどね。(理容店)「なんぼ高級な洋服やドレス着ても、着物には勝てんよー」って、私よう言うんやけど。(和裁縫製)京都みたいな街って、世界中に似たような街ってないような気がしてて。(カメラマン)まあ、こんなんやってもあかんやろうな、とは思ってましたが、予想通りあかんかったです。(行政書士)こんな年になってね、毎日が新しく生きる喜びができてきたいう感じ。どうでもいい、いう感じじゃなしにね。(居酒屋)そこからどんどんつながって。お芝居やってきたことも、やりきれなかったことも、気持ちとかも。そういうぎゅーってなってる時代がないと、やっぱり人前で歌とか。(歌手)そんなんで危ない二〇代、やっぱり傷だらけですよね。自分を実験台にしちゃうので、痛い失敗もいっぱいしたし。(タロット・西洋占星術師)たぶん、いつ死んでもそんなに今は後悔ないかなぁ。今も楽しいし。(アクセサリー製造)けっこう人間くさいんですよね、法律って。(弁護士)いやー、美術館行って、そのときに通り道にあったんや。そのとき、美術館好っきやってなあ。「募集」って書いてあってな。(京象嵌)何も持ってない人間いうのはある意味強いんやけどね。生産手段を持ってない労働者は。まあ、それに比べると経営者というのはなかなか難しいな、と思いながらやっとるけど。(税理士)あの時分、税務調査ようけあったでー。年間一五か二〇件はあったんちゃうかなー。朱五のは全部立ち合い行ったで。(木材加工)ところが東京ナイズされてるやろ、俺もな。なまじっかな若かったし、東京ナイズで、いろんな婦人服を仕入れてきて売ったんやけど、商品も、もうひとつ合わへんのやな。(婦人服小売)うちはアーケードあるからそう思ってんねやけど、一つ屋根の下でみんなで商売してんねんな。(うなぎ蒲焼・総菜)まあ、今は好きなことができてるんでね。それだけでも、ありがたいですね。(中古レコード)それを見て「ワシ、こんな変な字、彫っとったたんか……」っちゅうふうに思うことがありましてな。(判子屋)ま、そんなわけで、五〇年前からずっと、京都に来るときから、自分の人生を自分で決められてないんです、ワシは。(元事務局員)この大きな二つのジャンルのほかに、決して認められることのない小さなジャンルがあってねえ。(露天商)お母さんがちゃんとしてたんやろな。たいしたもんやな。(美容室)あのね、なんとかなるんですよ。(DJ、イベントオーガナイザー)能力と、行き当たりばったりで、自分の適性の職にたどりつくのかなっていう気がして。(スナック)一四年間、チタチタに来てくれてる人で、「ありがとうございました」しかしゃべったことない人います。(喫茶店)ほんで、私はもう、民商は、何でも相談できるとこやから、ほんまに、生涯の保険や思うてんのや。商売だけと違うて、いろんなことで、相談できるからね。(和菓子)仕事が一番、子どもは二番目にみてたわ。子どもたちも、どうやって大きくなったのかなあ。食事とか、ほんまにしたんかな、って思うもんね。(湯のし屋)小学校のころは、二人とも、車が好きでしたから、西大路通で車が走ってくるのを待ってね。車が見えたら、どちらが早く車名を当てられるか競争したりして遊んでました。(染料卸)ま、京都の人間ですのでねぇ。京都で生まれてね、よかったなぁと思います。(美容室)ここも一緒。提供してるのは保育じゃなくて飲食だけど。美味しい食事、安全安心な食事を提供して、それをツールに関係をつくる。(カフェ&バー)もともと、三条大橋に店があったから、名字は「脇田」でも、屋号は「大橋屋」で。(天ぷら屋)
――よう子ちゃんは、俳優さんやってて、そのときにファニィの手伝いに来たんやったっけ?せやねん。一五歳のときに劇団京芸の俳優教室に行ってて。ほんで二〇歳くらいのときにちょっとだけこっち(スナック ファニィ)手伝って。そのときも実家やったから。(大阪府三島郡)島本町におったから。すぐ終電で一一時くらいに帰る。(店では)じーっとしてただけやねんけど(笑)。――二〇歳のときは劇団で役もらって俳優やってたん?ううん。俳優教室やったから。淀にあって練習しに行って、春とかに発表して卒業公演ていうのがあんねんけど、卒業公演してから恥ずかしすぎて一年休んで(笑)、一七歳くらいのとき、なんか知らんけどまた卒業公演に出て。卒業公演に何回か出てん(笑)。ほんで大学ぐらいのときに劇団を立ち上げようみたいなんになって。――大学って大阪の大学?滋賀。成安造形大学で。でも学校とかもぜんぜん行ってなくって。――何してたん?なんかじーっと。家で暗くしてた(笑)。――(笑)。それがこないだ言ってた引きこもり期か!高校生とかもずーっと。劇団京芸とか行く以外は……まあ行ってたけど、遅刻とかバンバンしてて。――ああ、そうなん? 今こんなに明るいのに。そう。なんかじーっとしてた。暗かった。――大きくなってから「あれって、ああいうことやってんや」って解明されたりした?うーん……。ぎゅーってなってたから。でも、なんか、やっぱりやりたいっていうのはあったから。劇団京芸に行きたいって思ったのは、小学校のときに人形劇団京芸を見て、「銀色の松ぼっくりと空を飛んだにわとり」っていうお芝居で、鶏たちが頑張って空を飛ぶっていう話で感動してん。六年生のときに。それで、高一の始業式のときにタウンページで劇団京芸って調べて電話して。で、一五歳で京芸行って、俳優教室に行って、たまになんか……せや、劇団を立ち上げて、旗揚げ公演でその劇団がつぶれて(笑)。――めっちゃ面白い(笑)。それで(他メンバーが)「アメリカに行きたい!」とか。……続きは『京都 中京民商 商人・職人 生活史』で!
京都・中京民商は、7月9日(日)に、北民商、上京民商と共催で「商人道」をテーマにしたシンポジウムを開催します。『京都 中京民商 商人・職人 生活史』の第2部に寄稿していただいた松尾匡さん(立命館大学教授)と、古都・京都のど真ん中で頑張る3人の商人・職人が語り合います。3人の報告者は『生活史』の語り手ではありませんが、多様な商売・仕事に携わりながら地域の経済・社会を支えてきた商人・職人の語りに直接に触れていただける機会です。どなたでも無料でご参加いただけます。事前予約は不要です。ご都合のつく方は、ぜひご参加ください。
『京都 中京民商 商人・職人 生活史』の制作は、創立70周年の記念事業でしたので、まずは中京民商の会員に届けること、その上で、日頃から中京民商の活動に協力していただいている方々にお届けすることを考えました。制作したのは500冊です。このうち250冊は中京民商の会員用(1冊1,000円で販売)で、残りの250冊を一般用(1冊2,200円〔税込〕で販売)としました。 本が完成してから、一般向けには、中京民商事務所に加えて、オンライン注文フォームでの販売を行いました。また、京都市中京区とその周辺のいくつかの書店さんにも、販売をお願いしました。現在取り扱っていただいているのは、10マントンアローントコさん、レティシア書房さん、ふたば書房御池ゼスト店さん、ホホホ座浄土寺店さん(左京区)、モモブックスさん(大阪市)、そして大垣書店烏丸三条店さんです。大垣書店烏丸三条店さんには6月下旬からお取り扱いいただいているのですが、6月25日から7月1日の週刊ランキング(一般書)で、なんと村上春樹さんの『街とその不確かな壁』に次ぐ第2位となったそうです!自費出版の本でバーコードがついていないため、バーコードのシールを貼った袋に詰められ中身を試し読みできない状態で店頭に並べられていたので、正直「大丈夫かな…」と思っていたのですが、順調に売れているようで嬉しい限りです。読んでいただければ、絶対に楽しんでもらえるという自信があります。現在、店頭に並んでいるのは初版ですが、残りが少なくなっています。増刷の資金を確保するためクラファンに挑戦中です。引き続きよろしくお願いいたします。