立体版上毛かるたである「みんなとつながる上毛かるた」ですが、三輪代表の作った木彫版は、美術作品としてもとても魅力があります。立体面の造形のユニークさや、当事者ならではの、実際に触ってみてなんの札かわかるようにするための省略化(上毛かるたの絵柄をそのまま立体にするのでは情報量が多すぎてなんの札か逆にわからなくなってしまうのです)、また、漆で仕上げられた表面の美しさ、また株式会社ジンズさんの協力で、オリジナルの上毛かるたを立体面の裏がわに埋め込んであり、その対比も面白く、多面的な魅力があります。また、読み札(下の写真の左側)も用意され、全部をセットとして収める立派なヒノキの箱のケース、その箱の蓋には三輪代表の字で、「みんなとつながる上毛かるた」の文字が踊っています。今回のクラウドファンディングのリターンの一つは、この芸術作品としての「みんなとつながる上毛かるた」の読み札の裏・ケースの蓋の裏に支援してくれた会社や個人の方の名前を入れるというものです。これは、戦後すぐに上毛かるたが生まれた際に、多くの企業が支援し、その会社名を札の裏に入れたという歴史にちなんだものでもあります。あなたの支援が、作品の一部になるのです。この木彫版は、初版・改良版ともに美術館に寄贈予定で、群馬県の文化財として、末長く展覧、保存されていくことになります。ぜひ、ご支援ください!
三輪代表は視覚を失ってから、文字通り手探りで新しい表現に取り組み始めます。視覚に頼らないでの造形、触覚だけで形を作っていく表現。最初は、とにかく位置をしっかり決めるということが重要だったそうです。長年、緻密な造形をしてきた代表は、ある種の3Dスキャナーのようなものが頭の中にあり、位置さえはっきりわかれば、頭の中に3次元の座標軸を思い浮かべながら、形を作っていくことができるのです。ただ、一旦作業を離れるとどこの部分をやっていたかを見失ってしまうーそこで正方形の台の上で台の寸法を手がかりに位置を把握するようにして、作業をするようになります。その後、ビー玉を埋め込み、それの位置関係で全体を把握するなど、さまざまな技法を重ねていきます。そして、何より手触りの彫刻ならではの、質感や触った時のざらざら感・スベスベ感などを表現として取り入れていきました。見えなくなってからの代表作の一つに、おせんべいの彫刻があります。醤油煎餅、海苔煎餅、ざらめ煎餅といった種類の違った煎餅の触覚を再現し、ユーモラスな形も相まって、展覧会でも多くの人が触って、煎餅の種類の違いを実感していかれます。そして、「みんなとつながる上毛かるた」でもそうなのですが、その触覚の違いを共有したくなるのか、そばにいる人との対話が始まることが多いのです。言葉を交わしながら、視覚に頼らず形や手触りを共有する・・・そこには、新しい美術体験の可能性があるように思えるのです。
みんなとつながる上毛かるたラジオ、第4回をお届けします。今回は、立体化するにあたって、難しかったところ、また改良版へ向けてどういうことを改良したいかなどを三輪代表に語ってもらっています。ぜひお聞きください!
今日は猫の日だったので、三輪代表の見えていた頃の猫の作品の写真を載せてみました。なんとも貫禄のある猫たちです。三輪代表は、子どもの頃は動物が大好きで、獣医さんになりたかったそうです。この猫の連作の他にも、犬の作品や変わったところではナメクジやアサリの作品など、生き物を題材にした作品がたくさんあります。子どもの頃からの動物好きは今も変わらずで、見えなくなった今も、アトリエには猫が何匹かいついているようで(我々が訪問するときは姿を隠していますが)、三輪代表から電話があると、電話口の向こうではしきりと猫の鳴き声が聞こえてきます。三輪代表の緻密な造形を支える土台には、こうしたした命あるものへの深い愛情があるように思えます。この猫の連作も細部まで緻密な造形がなされていながらも、全体はなんとも愛らしく、ユーモラスな空気が漂っています。第一回のラジオで、見えていた頃の自分の作品は人を寄せ付けないような厳しい部分があるかもというようなことを語っていましたが、ある種の厳しさを持ちつつも、人懐っこさや、ユーモアの感覚を持つ三輪代表は、多面的な魅力を持つ作家でもあります。見えなくなったことで、さらにまた別の境地を開きつつあり、ラジオでも語っていたように、社会と積極的につながって活動を展開していくあり方は、現代アートの一分野である、ソーシャリーエンゲージドアートそのものでもあります。このクラウドファンディング自体も、三輪代表の作品の一つなのかもしれません。ぜひ、みなさんこの作品に参加する気持ちで、どうぞご支援願えればと思います。
今日は、群馬県立点字図書館さんでの「みんなとつながる上毛かるた」体験会が群馬県総合福祉センターで行われました。50人近くの方が、このかるたを体験に来てくださいました。当事者の視覚障害の方も何人もおられて、とても楽しんでくださいました。最後に素晴らしいコメントをいただきました。(許可を得て掲載しています)上毛かるたの文章は頭に入っているけれど、絵札を見たことがないというこの方の感想に、われわれ一同、ちょっと感動してしまいました。なんとかこのプロジェクトを進めるために、私たちもより一層頑張りますので、どうかご支援ください。







