クラファン公開に伴い、ARES Project を支えるメンバーたちの想いをお届けします。第9弾は、ローバー制御班において自律走行を担当する、Dew。彼はARESに所属している数少ない国際メンバーの1人です。いつもはあまり喋らず黙々と作業しているのですが、技術力はARESの中でもトップクラス。自律走行に関しては彼に任せておけば間違いありません。普段はクールで英語しか喋らないのに、本当は日本語をかなり理解しています。日本語を分からないふりをするのが彼の面白いところです。DEW : ローバー制御✴︎ 担当していることARESでは、自律走行を中心に担当しています。特に、ROS2 や Nav2 を用いたアルゴリズム開発、ローバーミッション全体のソフトウェア面の設計に携わっています。具体的には、レイヤーアーキテクチャの設計、物体検知や障害物回避の実装、信頼性の高い自律運用を実現するためのセンサ統合などを手掛けています。最近では、新しい試みとして、大会のフィールドミッションで用いる、リアルタイムでのモニタリングやコマンド送信を可能にするウェブアプリケーションの開発にも取り組んでいます。学部では機械・航空宇宙工学を専攻し、主にシステム設計や宇宙機・航空機の概念設計について学んでいます。ですが、ARES での活動が、ロボティクスのソフトウェア分野に本格的に踏み込む機会となりました。もともとロボットプログラミングの経験はほとんど無かったため、自分にとって大きな挑戦ではありましたが、Depp、Kato、Nagakei、Danishi、Seiyan といった経験豊富なメンバーと共に実践的に学び、機械系の知識とソフトウェア開発を結びつける力を身につけることができています。ARES では、C/C++ を用いた ROS2 パッケージ開発、センサフュージョン、SLAM アルゴリズム、フィードバック制御などに取り組み、実践的なスキルを磨いてきました。また、OpenCV や CUDA といった最新ツールにも触れ、リアルタイム画像処理や並列計算といった、自律性を向上するために不可欠な技術も学んでいます。システムモデリングやセンサフィルタリング、ミッションレベルでの統合設計などを通して、機械システムがソフトウェアによってどのように「知能」を得るかを体感しながら学ぶことができています。技術的な成長に加えて、ARES での活動を通じて、日本ならではの働き方やチームワーク、そして目標に向かって責任を持って取り組む姿勢の大切さも学びました。多様なメンバーとともに国内外の大会に向けて準備を進める時間は、大学生活の中でも特に印象深く、かけがえのない経験となっています。自律ロボティクスの概念を理解することは最初は難しかったものの、この経験を通じて大きく成長することができました。✴︎ 大切にしていることシステム開発において、私は常に「シンプルさ」「確実性」「継続的な改善」を重視しています。ロボティクスの現場では、シミュレーション上でしか動かない複雑な設計よりも、実環境で確実に動作するシンプルな設計の方がはるかに価値があります。この考え方は、ARES に参画した初期の経験から生まれたものです。当時、過度に複雑なコードや不明瞭な構造が原因で、テスト中にローバーが動かなくなるということを経験しました。自律走行システムの開発では、特にシミュレーションから実機へ移行する際に、多くのバグや予期せぬ不具合に直面しました。実際のフィールド運用では、通信強度、センサの精度、遅延など、さまざまな要因がシステムに影響を及ぼし、微調整が非常に難しくなることを痛感しました。こうした経験を通して、モジュール化された設計、段階的なテスト、慎重な検証の重要性を学びました。私にとって、エンジニアリングとは、「テスト・失敗・改善」の繰り返しだと考えています。バグや不具合の一つひとつが学びとなり、ローバーをより強固なものへと導いてくれました。この経験を通じて、焦らず、好奇心を持ち、常に挑戦し続ける姿勢を忘れないことを大切にしています。✴︎ ARES で今後挑戦したいこと短期的には、メンバーの人数が他のローバーチームより少ないという状況だからこそ、これまで以上に積極的に ARES に貢献したいと考えています。特に、自律走行システムの性能向上に力を入れて、URCでの優勝を実現することが今の1番の目標です。昨年度は良い結果を残せましたが、さらに上を目指すためには、限られた時間と厳しいフィールド環境の中で高い実力を発揮できる体制づくりが欠かせません。そのためにも、強いコミットメントが求められます。長期的には、ローバーのミッションをより正確にシミュレーションし分析できるデジタルツインシステムを構築して、仮想環境と実世界の性能差を縮めていきたいと考えています。また研究者としては、将来的にロボティクスコミュニティに貢献できるような新しいオープンソースのナビゲーションスタックを開発することも目標の一つです。






