今回は、「12Vバッテリーレス充電システム」におけるキャパシタの容量をどのくらいにすべきかについて書きます。 旧プリント基板の場合 、①に1000uF + 100uF + 0.1uF、②に470uF x2、③に470uF + 0.1uF x3 を推奨します。 新プリント基板の場合、①に1000uF x2 + 100uF + 4.7uF、②に1000uF、③に470uF + 0.1uF x3 を推奨します。 ①は、太陽電池からの配線からの途中にノイズが入っても吸収できるようにするために必要です。また、DCDCコンバータの入力側のノイズを吸収するのにも必要です。 旧基板の場合100uF + 0.1uF、新基板の場合100uF + 4.7uFだけでも動作します。 コストを抑えたい方は、変えてみてもかまいません。 ②は、DCDCコンバータの出力側のノイズを吸収するのに必要です。 ③は、太陽電池からの系統で②で取りきれなかったノイズを抑えるのに役立ちます。 また、ACアダプタやモバイルバッテリーからのノイズを抑えるのにも効果を発揮します。 ただし、③にキャパシタを接続すると、ACアダプタの寿命が縮まるという説もあるようです。 ③は470uFより大きいと、「バッテリー叩き起こし」が働かなくなるので、470uF以下を推奨します。 ③に470uFを1個付けた場合でも、バッテリー叩き起こしには3秒ほどかかります。 余裕があったら、キャパシタ容量も研究してみてください。 それではまた。
今回は、「12Vバッテリーレス充電システム」に使う太陽電池はどのくらいの大きさにすべきかについて書きます。 ベランダに設置する場合、50Wくらい、屋内の窓の内側に設置する場合、100W位を推奨します。 プリント基板1枚につき、5V2Aの電力を使います。 DCDCコンバータの変換効率は80%くらいなので、12.5Wくらいの電力が必要です。 しかし、12.5Wの太陽電池が12.5Wの電力を発電するのは、晴天かつ日光が太陽電池に垂直に当たる理想的な場合です。 なので、ベランダ設置でも50W、ガラスの内側なら100W程度が必要です。 これだけの大きさがあれば、曇りの時でもUSB充電のための電力を発電します。 太陽電池が1枚の場合逆電流防止ダイオードが不要なので、太陽電池は1枚がお勧めです。 活動報告すべき内容も残りわずかになりました。 ご支援いただけるとうれしいです。2021/3/6追記 太陽電池は12V系のものをご使用ください。 40V以上の高い電圧を発生させる太陽電池を接続すると火災や事故が発生することがあるのでご注意ください。
今回は、「逆電流防止ダイオードを不要にする技術」です。 通常、独立電源システムでは、夜間にバッテリーから太陽電池を通じて電流が逆流しないようにする逆電流防止ダイオードが必要です。 「12Vバッテリーレスシステム」では、太陽電池が1枚なら逆電流防止ダイオードが不要です。 そのため、電圧が0.4V~1Vほどお得に利用できます。 その技術について説明します。 夜間、太陽電池は発電しません。 そのため、太陽電池からの入力は0Vとなります。 その際太陽電池の系統のスイッチはオフになります。 ここで、太陽電池の系統のスイッチは、ソースを逆にして直列接続した2つのMOSFETとします。 そうすることにより、オフの時、右から左への電流カットし、夜間の逆電流を防止してくれます。 電圧が0.4V~1Vほどお得に利用できるので、システム全体での電力効率が向上します。 注意点として、太陽電池2枚以上を並列接続した場合は、ある太陽電池の発電電流が他の太陽電池を経由して逆流するのを防ぐため、逆電流防止ダイオードが必要です。 いかがでしたでしょうか。 今回まで3回で、「12Vバッテリーレスシステム」のコア技術を説明しました。 リターンで送付する技術資料には、全体の詳細回路図を載せますので支援された方は楽しみに待っていてください。 技術資料を読んでもわからないことは、当方宛にご質問ください。 ご支援、お気に入り登録、よろしくお願いします。 プロジェクト期間中はもちろんプロジェクト終了後も情報発信する予定なので、予算の都合で支援が難しい方はお気に入り登録だけでもお願いします。
前回から引き続き、技術トピックです。 今回は、「スタンドアロンモード」です。 「スタンドアロンモード」は停電・災害時に有益なモードです。 前回とほぼ同じ図を使って説明します。 太陽電池から入力電圧を判定し、太陽電池からの入力が14.5V以上の場合、太陽電池からの系統をオンします。 次に、下の図をご覧ください。 太陽電池からの入力が14.5V未満の場合、太陽電池からの系統をオフします。 太陽電池からの入力が14.5V以上では、太陽電池からの系統をオンするので太陽電池からUSB充電対象機器に充電します。 そのため、スタンドアロンモードでは、太陽電池からの入力電圧が低下します。 「スタンドアロンモード」でこの状態では、ACアダプタ/モバイルバッテリからの電力供給はないので、USB充電対象機器には充電されません。 そうすると、太陽電池からの入力が14.5V未満となり、太陽電池からの系統をオフします。 「スタンドアロンモード」でこの状態では、ACアダプタ/モバイルバッテリからの電力供給はないので、USB充電対象機器には充電されません。 このフィードバックにより、スタンドアロンモードでは、USB充電対象機器への充電電流を絞りつつ、太陽電池からの入力が14.5Vに維持されます。 では、なぜUSB充電対象機器への充電電流を意図的に絞ってまで太陽電池からの入力電圧を維持する必要があるのでしょうか? 下の図は、太陽電池の取り出す電圧と取り出す電流、取り出せる電力の関係です。 取り出す電圧が17V付近で最も大きな電力が取り出せることがわかります。 そのため、取り出す電圧が17V付近とするのが最適ということがわかります。 この関係は、温度によっても変わり、複数の太陽電池を用いる場合、逆電流防止ダイオードが必要になる分の電圧降下を考慮しなくてはいけないということで、14.5V程度に設定しています。 この14.5Vという設定は、抵抗器の抵抗値を調整してカスタマイズできます。 支援していただいた方で余裕のある方は、カスタマイズしてみてください。 さて、太陽電池からの系統に、本当にスイッチが必要なのでしょうか? この疑問を解明するには、下の図の2点を短絡して実験をしてみればわかります。 短絡を半田付けでしてしまうと、そのプリント基板は使えなくなってしまうので、配線を穴に通すのみとしてください。 支援していただいた方で余裕のある方は、試してみてください。 結果を申し上げますと、太陽電池からの入力が小さい電圧から大きい電圧に変化する場合、出力の5Vよ少し高い5.5~6Vで安定してしまい、それ以上上がらなくなってしまうことがあります。 つまり非効率な太陽電池からの入力電圧でDCDCコンバータが動作することになります。 「スタンドアロンモード」が必要なのは、ACアダプタからの電力が得られない停電・災害時のみです。 ですが、停電・災害はいつ起こるかわかりません。 普段から停電・災害時を想定し、「12Vバッテリーレスシステム」を導入し、「スタンドアロンモード」の実験をしておくことをお勧めします。 カスタマイズしさらなる研究をするには、プリント基板4枚コースがお勧めです。 ご支援・お気に入り登録・ご質問・コメント等お待ちしております。
本日から、再び技術トピックに戻ります。 本日は、協調充電回路についてです。 プロジェクトページでも協調充電については軽く触れていましたが、技術の詳細に関しては説明していませんでした。 今回のトピックは非常に重要です。 まず、協調充電働くときはどんなときか、説明します。 太陽電池のみでUSB充電対象機器へ充電が賄えるときは、協調充電する必要がなく、協調充電しません。 太陽電池が全く発電していないときも、協調充電にはなりません。 太陽電池が発電しているが、太陽電池だけではUSB充電対象機器への電力供給が十分でない場合を考えます。 このうち、ACアダプタ/モバイルバッテリが接続されていない、あるいはモバイルバッテリが空で放電できない場合は、スタンドアロンモードと呼ぶことにしています。 スタンドアロンモードに関しては、次回詳しく取り上げます。 太陽電池が発電しているが、太陽電池だけではUSB充電対象機器への電力供給が十分でない場合でACアダプタ/モバイルバッテリが電力を供給できる場合を協調充電モードと呼ぶことにします。 まずは、上の図をご覧ください。 太陽電池から入力電圧を判定し、太陽電池からの入力が14.5V以上の場合、太陽電池からの系統をオンし、ACアダプタ/モバイルバッテリからの系統をオフします。 次に、下の図をご覧ください。 太陽電池からの入力が14.5V未満の場合、太陽電池からの系統をオフし、ACアダプタ/モバイルバッテリからの系統をオンします。 太陽電池からの入力が14.5V以上では、太陽電池からの系統をオンし、ACアダプタ/モバイルバッテリからの系統をオフするので太陽電池からUSB充電対象機器に充電します。 そのため、太陽電池だけではUSB充電対象機器への電力供給が十分でない場合は、太陽電池からの入力電圧が低下します。 そうすると、太陽電池からの入力が14.5V未満となり、太陽電池からの系統をオフし、ACアダプタ/モバイルバッテリからの系統をオンするので、ACアダプタ/モバイルバッテリからUSB充電対象機器へ充電します。 そうすると、太陽電池からの入力電圧が上昇します。 このフィードバックにより、協調充電モードでは、太陽電池からの電力供給を優先し、足りない分はACアダプタ/モバイルバッテリから電力供給し、太陽電池からの入力は常に14.5Vとなります。 厳密にいうと、14.5Vからほんの少しだけの変化はあります。 下の図は、プロジェクトページでも上げましたが、協調充電の様子です。 横軸は、電圧変換前の太陽電池からの電流を模擬した直流電源からの電流で、縦軸は、5V変換後の太陽電池からの電流とACアダプタからの電流です。 尚、太陽電池の系統のスイッチ記号の部分は、無くても協調充電は機能します。 では何のためにあるのかというとスタンドアロンモードのために必要なのですが、この辺の話は次回します。 もし協調充電機能がなく、曇りの日に太陽電池からの電力供給が5V変換後に0.5Aしかなかったら、0.5AでUSB充電対象機器に充電することになり、充電が遅く、USB充電対象機器がスマートフォンだった場合、消費される電力の方が多く、実質的に充電されないなんていうことになりかねません。 12Vバッテリーレスシステムの中身は協調充電回路だと言っても過言ではありません。 いかがでしたか? 「12Vバッテリーレスシステム」の技術の詳細をまとめた資料は、すべてのコースに付きます。 是非プロジェクト「12Vバッテリーレスシステム」をご支援ください。 災害に備えましょう。