研究者出身の醸造家が辿り着いた、日本酒の新境地。

本プロジェクトは終了しましたが、米の違いを、酒の違いとして表現したCultivaのどぶろくは現在もネットショップにてご購入いただけます。ご興味のある方は、ぜひこちらからご覧ください。

「酒⽶テロワール-新しい酒の価値基準」 私たちのアプローチは、製法に依存せず、⽶そのものの個性を最⼤限に引き出すこと。 品種によって⽣まれる多様な味わいを明確にし、それを直感的に楽しめる酒造りを⽬指します。

現在の支援総額

2,587,000

517%

目標金額は500,000円

支援者数

160

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2025/07/31に募集を開始し、 160人の支援により 2,587,000円の資金を集め、 2025/08/31に募集を終了しました

現在の支援総額

2,587,000

517%達成

終了

目標金額500,000

支援者数160

このプロジェクトは、2025/07/31に募集を開始し、 160人の支援により 2,587,000円の資金を集め、 2025/08/31に募集を終了しました

「酒⽶テロワール-新しい酒の価値基準」 私たちのアプローチは、製法に依存せず、⽶そのものの個性を最⼤限に引き出すこと。 品種によって⽣まれる多様な味わいを明確にし、それを直感的に楽しめる酒造りを⽬指します。

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みなさま、こんにちは。Cultiva代表の副田大介(そえだ だいすけ)です。前回は、生酛造りの概要と、私が生酛に着目する理由についてお話ししました。今回は、生酛の成立に欠かせない「水と硝酸還元菌」についてです。生酛造りにおける仕込み水の最重要条件は、硝酸態窒素(硝酸イオン、NO₃⁻)が適度に含まれていることと硝酸還元菌が存在すること。仕込み初期には、水中に存在する硝酸還元菌が硝酸イオンを利用して亜硝酸イオン(NO₂⁻)を生成し、この亜硝酸が強い殺菌作用を発揮します。雑菌や野生酵母を抑え込むことで、その後に乳酸菌が安定して増殖できる環境が整うのです。人工的に乳酸を添加しない生酛の根幹は、まさにこの仕組みにあります。しかし、現代の水道水では生酛に必要な条件を満たすことが困難です。理由は主に2つ。 硝酸イオン濃度が低すぎること糸島の水道水の多くは硝酸態窒素1mg/L未満で、生酛に必要な約5mg/L(硝酸イオン換算で22mg/L)に達しません。 塩素殺菌で硝酸還元菌が存在しないこと水道水に含まれる塩素により、自然界の硝酸還元菌は死滅してしまいます。 そのため、水道水だけでは原理的に生酛造りは難しく、通常は別に硝酸カリウムや硝酸還元菌を添加する対応が必要です。醸造所から近いところにある地下水の汲み場。近隣に理想的な水があるというのも糸島の魅力ですですが私は、なるべく自然な形で生酛を成立させたいと考えました。そこで糸島市内の地下水を調査し、硝酸態窒素が理想的な5mg/Lを含む水源を発見。これを仕込み水に活用しています。条件を満たす水源が近隣にあるのも、糸島という土地の魅力のひとつです。生酛の初期工程には「打瀬(うたせ)」と呼ばれる5〜6℃で2〜3日置く期間があります。硝酸還元菌はこの温度でも活動できるため、他の菌を抑えつつ硝酸から亜硝酸の生成を進められます。私の仕込みでは亜硝酸イオンが5mg/Lまで上昇し、雑菌や野生酵母を十分に抑える環境ができました。その後は、亜硝酸存在下でも生育可能な乳酸菌が増殖し、乳酸を生成。ここで「亜硝酸と乳酸の二重の壁」が形成され、雑菌が排除されます。そして乳酸菌が亜硝酸を消費しきったのち、いよいよ酵母の出番が訪れるのです。江戸時代に、この高度な仕組みが経験的に確立されていたことには驚かされます。自然界の菌を巧みに利用した発酵技術は、日本が世界に誇るべき知恵だと改めて感じます。亜硝酸イオンを調べるため、試料を5倍に希釈し測定。比色したところ5mg/Lでしたちなみに硝酸イオンや亜硝酸イオンは、パックテストと呼ばれる簡易測定で色の濃淡を比較することで確認できます。細かいことですが、生酛の中で「今、何が起きているのか」を知ることが極めて重要なのです。


みなさま、こんにちは。Cultiva代表の副田大介(そえだ だいすけ)です。いよいよ、仕込みも酛立て(酒母造り)に突入しました!これから数回にわたり、私が取り組んでいる酒母の製法の一つである「生酛造り」についてお話ししていきます。第一回は、生酛とは何か、そして私がなぜこの手法に注目しているのかについてです。まず酒母とは、酒造りの出発点であり「酵母を純粋に培養したスターター(種)」のことです。酒母造りでは、仕込みで使う大量の酵母を、雑菌の混入を避けながら健全に増やすことが目的です。その中でも生酛は厳密な温度管理のもと、乳酸菌や硝酸還元菌といったさまざま微生物の遷移を経て、酵母が生きやすい環境を整えていきます。精米90%山田錦の埋け飯。低温下でゆっくりと冷却し、蒸米を硬くしていく(老化)埋け飯後の蒸米と米麹と水を合わせ、時間をかけて水を吸わせていく生酛造りは、江戸時代に確立された伝統的な製法で、人工的に乳酸を添加して短期間で酸性環境をつくる速醸酛と違い、自然の硝酸還元菌や乳酸菌の働きを利用し、雑菌汚染を避けながら時間をかけてゆっくりと酒母の発酵を進めていきます。乳酸菌が生産する乳酸によって酒母が酸性になることで、酵母にとっては生育しやすく、他の菌にとっては生きられない環境をつくりだすのです。この「徐々に酸性化するプロセス」こそが、生酛の本質であり最大の特徴です。生酛造りといえば、埋け飯(蒸米をゆっくり冷却し、硬くしたもの)と麹を桶やタライ中で擦り潰す「酛摺(もとすり)」が有名ですが、私は、生酛の本質は「徐々に酒母が酸性化していくプロセス」にあると思っています。品種特性を最大化する戦略酸性化の過程では、麹由来の酸性プロテアーゼや酸性カルボキシペプチダーゼといったタンパク質分解酵素が段階的に活性化し、米のタンパク質は一度ポリペプチド(タンパク質の分解物)として蓄積されたのち、更に多様なアミノ酸へと分解されていきます。これにより旨味・甘味・苦味といった幅広い成分が生成され、複雑な味わいが形づくられます。私が生酛造りに着目しているのは、米の品種ごとに異なるタンパク質の組成が、アミノ酸の生成パターンとして表れ、その違いが米の個性を際立たせてくれるからです。山田錦やヒノヒカリなどの米は、それぞれタンパク質の構成比に違いがあり、その違いが生酛のような段階的なタンパク質の分解で酒質に鮮明に表れてきます。つまり、生酛造りは酒米テロワールを探究する上で極めて有効な手段だと考えています。酛摺の作業の様子上の写真は「酛摺(もとすり)」の場面です。埋け飯後の蒸米と麹を水と合わせ摺り潰し、糖の濃度が高く水分活性が低い状態(ヨーグルト状)にしていきます。手間のかかる伝統的な工程ですが、この一歩が生酛の奥深い味わいの始まりです。次回は「水と硝酸還元菌の関係」について。生酛造りがなぜ“水”から始まるのか、その意味を掘り下げてお伝えします。


みなさま、こんにちは。Cultiva代表の副田大介(そえだ だいすけ)です。今回は、私たちが取り組んでいる「野生酵母」の挑戦についてご紹介します。みなさまは「蔵付き酵母」をご存じでしょうか。その名のとおり、酒蔵に住み着いた酵母のことで、蔵での仕込みが代々積み重なることで独自に形成されるものです。酵母を意図的に添加しなくても自然に発酵が進むため、昔ながらの酒蔵ではこの蔵付き酵母を頼りに酒造りが行われてきました。現在は、日本醸造協会が頒布する「協会酵母」を添加するのが一般的ですが、蔵付き酵母には造り手なら誰しも憧れを抱くものです。そやし水に米麹を加えたものとはいえ、できたばかりの私たちの醸造所で蔵付き酵母を期待するのは現実的ではありません。そこで試みたのが、醸造所の環境から「野生酵母」を単離する試みでした。そやし水(生米と炊いた米を混ぜた水)に乳酸菌を繁殖させ、意図的に酸性にした環境に米麹を加え、自然と酵母が湧きつくのを待ったのです。こうして発見されたのが、Cultiva糸島醸造所の環境から生まれた、穏やかな香りを持つ野生酵母です。私たちがこの野生酵母を使う理由は、主に2つあります。1. その土地に根付いた酵母を使うことで、唯一無二の酒を醸したい。2. 協会酵母が「低温」で安定した発酵を得意とするのに対し、野生酵母は「比較的高い温度」でなければ発酵が進みません。そのため麹の酵素が活発に働き、米がよく溶け、どぶろくの甘みや旨みに変換されやすくなるのです。つまり、協会酵母が「低温発酵」を強みにしているのに対し、野生酵母は「高温発酵」を特徴とし、米の旨みを引き出す力を持っているのです。また、協会酵母が出すような華やかな香りを抑えられる分、米本来の味を感じやすいのではないかとも考えています。もちろん、無添加で自然発酵に任せる造りにはリスクも伴います。だからこそ私たちは「安定性」と「独自性」の両立を目指し、この野生酵母を添加することで米の味をさらに引き出そうとしています。もしこの酵母が蔵に定着すれば、真の意味で「蔵付き酵母のどぶろく」を実現できる日が訪れるかもしれません。その日を目指し、Cultivaはこれからも挑戦を続けていきます。


みなさま、こんにちは。Cultiva代表の副田大介(そえだ だいすけ)です。大きな不安を抱えながらスタートした今回のクラウドファンディングですが、多くの方からの温かいご支援と共感をいただき、第二の目標であった200万円を無事に達成することができました。心より感謝申し上げます。昨年9月、安定した公務員という立場を離れ、挑戦の道を選びました。生活のすべてを注ぎ込み、収入のない中でも約1年にわたり、醸造所の空家賃と設備費用を支払いながら準備を重ねてきました。外注すれば簡単に解決できることも、自らの手で一つひとつ形にしてきました。この1年間の歩みと覚悟の延長線上に、今回のクラウドファンディングがあります。そして今回のクラウドファンディングが、独立後初めての売上となります。だからこそ、ここまでのご支援の一つひとつに、深い意味と重みを感じています。次なる目標は【300万円】です。「酒米テロワール」の実現に向け、まだ越えるべき課題はありますが、皆さまに見守っていただきながら丁寧に歩みを進めてまいります。仕込みも順調に進んでおり、現在は山田錦(精米歩合90%)の米麹が出来上がりました。支援者の皆さまからの温かいメッセージを胸に、程よい緊張感の中で真摯に仕込みを重ねています。最後まで全力で取り組みますので、ぜひ完成を楽しみにお待ちください。


みなさま、こんにちは。Cultiva代表の副田大介(そえだ だいすけ)です。今回は、原料分析の中でも特に重視している「タンパク質」について、実際の依頼分析の結果をご報告します。今回の分析では、酒造好適米の代表格「山田錦」と、飯米である「ヒノヒカリ」のタンパク量を比較しました。山田錦の粗タンパク量と水分量ヒノヒカリの粗タンパク量と水分量タンパク量は、山田錦が6.4%(乾物基準)、ヒノヒカリが8.0%(乾物基準)という結果でした。やはり山田錦のタンパク量は低めで、これは酒造好適米一般の特性といってよいでしょう。一方で、ヒノヒカリの8.0%という数値が「高いからダメ」というわけではありません。現在の酒造りでは、タンパク質が分解されて生成されるアミノ酸量が高くなることを嫌う傾向があり、そのため米のタンパク量は低い方が好まれるのが通例です。しかしこれは嗜好品としてのお酒の在り方を狭める考え方でもあります。アミノ酸には甘み、苦味、旨みなど多様な味があり、必ずしもマイナスに働くものではありません。ヒノヒカリの方が高いということは、山田錦よりも相対的に「味を感じやすいどぶろく」になる可能性を秘めているとも言えるのです。また、今回分析にかけた山田錦とヒノヒカリはいずれも精米歩合90%での結果です。精米を進めるほどタンパク量は低下しますので、品種や収穫年度で米の特性を比較・評価する際は同じ精米歩合で揃えることが不可欠です。また原料分析では、酒造りに実際に使用する精米歩合の米を測る場合と、玄米のまま測る場合があります。玄米分析では通常除去される粗脂肪なども評価できますが、仕込みに直結するのは精米後の成分です。今回は、酒造りに与える影響を評価したかったため、仕込みに使用する90%精米のものを分析しました。余談ですが、清酒の特定名称酒は「精米歩合」で分類されています。例えば大吟醸であれば精米歩合が50%以下のものしか名乗れません。しかし、本来注目すべきは「精米後に残ったタンパク量」だと考えています。同じ精米歩合でも元のタンパク量が違えば、当然残る量は変わります。今回の事例では、ヒノヒカリよりも山田錦の方がタンパク量は低かったですね。では精米歩合90%の山田錦のタンパク量と同程度までするのにヒノヒカリはどれぐらい磨かなければならないか。恐らく60%~70%は磨かなければならないでしょう。60%というと吟醸酒クラスです。60%精米のヒノヒカリの純米吟醸酒と、90%精米の山田錦の純米酒が同じタンパク量から造られたということも起こり得る話なのです。つまり何が言いたいのかというと、酒質を評価する上では精米歩合だけでははっきりとした評価ができないのです。重要なのは「どれだけ削ったか」ではなく「削った後にどんな成分がどのくらい残るか」なのです。この視点を持つことで、品種特性だけでなく、収穫年度ごとの違いや栽培方法による影響もより鮮明に見えてきます。最後に、タンパクの多寡や精米歩合の高低によって酒質の優劣を決めるだけでは、酒文化そのものが貧しくなってしまいます。私は低精白米を用い、米本来の味を追求する醸造を進めていますが、大切なのはどのようなかたちであれ、そのお酒を丁寧に味わう姿勢だと思っています。嗜好品であるからこそ、多様性を楽しむ文化を育んでいきたいと考えています。


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