今回は、昨日の続き、後編です。中学部のアンサンブル部員の校内弁論発表です。お読みください。「私が熱中していること」(後編) 中学部 多くの大会に出場してきた中で、一番印象に残っている大会は、去年の夏に鹿児島で行われた全国高等学校総合文化祭の全国大会です。この大会で私の所属するアンサンブル部では、初めて鍵盤楽器だけの楽曲を演奏することになりました。それまで打楽器しか担当してこなかった私も「ビブラフォン」という鍵盤楽器を演奏することが決まりました。初めて鍵盤楽器を任された喜びもありましたが、喜びと同時に大きな不安にも襲われました。「私なんかがビブラフォンでいいのかな。」「私のせいで、楽曲全体のペースを乱したりしないかな」などの不安要素が頭に浮かんできて、何度も自信をなくしてしまいそうになりました。 そんな私を助けてくれたのは大好きな先輩方や顧問の先生方の言葉です。「鍵盤楽器を弾くことは、あなたがことばを伝えることと同じです。演奏の仕方を学んで心を込めて演奏すればあなたの気持ちは届きます。」「あなたならできます」「ひとりではありません。みんながいます。」先生方からの言葉に勇気をもらい、期待に応えられるように一層練習に励みました。 また、私と同じ盲で点字を使用している四つ上の先輩からは、二人だけの個人練習でこんなアドバイスをもらいました。「自分が叩く鍵盤の前に立って演奏すると音を間違うことはないよ」「分からなかったら黒鍵で位置を確かめてね。」などのアドバイスです。先輩からの具体的で分かりやすいアドバイスに、演奏の仕方で悩んでいた私はとても救われました。「もっとうまくなりたい!」という思いがどんどん強まり今まで以上に練習を頑張ることができました。本番のステージでは、緊張と不安がもちろんありましたが、部員全員で奏でる音がぴったり重なり、ホール全体に反響しているのを全身で感じ取ることができました。全員で心ひとつにやり遂げられた幸せな瞬間でした。 数多くの大会に出場してきた経験や、顧問の先生方、先輩方の存在のおかげで、私は毎日充実した時間を過ごすことができています。「今日は部活の練習日だ。」と思うだけで、仲間と部活について話すだけで気持ちが高まります。基礎練習も、部活動全体のため、自分のためだと思うと頑張れます。今、私にとってアンサンブル部ほど幸せなことはないのです。共に演奏し共に大会に出場できる仲間や顧問の先生方、本当にありがとうございます。※一部省略し、掲載しています。
今回は、今年度の校内弁論大会、中学部のアンサンブル部員の発表です。まずは前編をお読みください。「私が熱中していること」 中学部 皆さんは、お風呂に入っているときどんなことを考えていますか。夜、布団の中で眠りにつくとき、目を閉じてどんなことを考えていますか。私は、お風呂に入っているときも、夜眠るときもある楽曲が頭の中でずっと流れています。それは、私の所属するアンサンブル部で演奏する「ベントルナード バッロ」という曲です。それぐらい、私は今、アンサンブル部に熱中しています。 私がアンサンブル部に入部したのは、小学部四年生の時です。入部したての頃は顧問の先生は誰なのか、どんな練習をしているのか・・・。何もかも分からない日々でした。最初は自分一人で音楽室への移動もできず、先生方に代わる代わるついてきてもらわないといけないぐらいすべてが一からのスタートでした。アンサンブル部に入って、私が最初に担当した楽器は大太鼓でした。顧問の先生は、私がリズムを覚えることができるようになるまで、私の手を取って少しずつ少しずつ優しく教えて下さいました。今思い返してみると、私にとって小学部時代の部活動は、演奏することや先輩たちと過ごせることがただ楽しい時間という印象でした。 そんな私が、現在のように部活動にのめり込むようなったのは中学部一年生の時からです。高校生しか出場資格のない大会にも中学生として出場させていただく機会が何度もでてきました。大会に出場するというからには、小学部の時に感じていた、ただ楽しいという気持ちだけでは通用しません。練習する回数も大幅に増え、先輩方と演奏したり、同じ時間を過ごしたりする中で自然と音楽と向き合う時間も多くなっていきました。…………後編に続く…………
今回は、「遮光眼鏡」についてです。アンサンブル部員は、舞台袖からステージ上に移動する際に、照明の明るさの変化に目の調整ができなくて演奏に影響する生徒も多くみられます。日常生活でも眩しさを感じる場面が多くあります。そのような時に使えるのが、遮光眼鏡です。遮光眼鏡は、羞明(しゅうめい)、眩しさやコントラストがはっきりしない、明順応低下などの眼疾患から目を守る眼鏡です。紫外線や眩しい波長を抑えるために色味がついたレンズになっています。「サングラスと遮光眼鏡は異なります。グレー系のサングラスは、目に入る光を均一にカットするため、全体的に視界が暗くなることがありますが、遮光眼鏡は、まぶしさの原因となる光をカットし、黄色や緑色などの明るさを感じるために必要な光はできるだけ取り込むことが出来るため、まぶしさを抑え、明るく自然な視界を確保できます。」と、MEGANE MUSEUMのHPには説明があります。
今回は、前回の続きで、後編です。お読みください。 「私にとって『音楽』とは」(後編) 楽譜を見ながら演奏することが難しい私たちは、楽譜を全部覚えて演奏しなければいけません。そのため、みんなで演奏曲目を仕上げるのに約半年かかります。楽譜とデジタル音源を使って繰り返し個人練習をします。楽譜では音階を確かめながら、デジタル音源では強弱や拍の長さなどの表現方法を確認しながら練習しています。初めはデジタル音源を聴く、次に弾いてみる、そして音源を聴きながら弾いてみる、同じところを何度も何度も繰り返し覚えるまで続けていきます。寄宿舎や家でもデジタル音源を聴いて、全体での演奏のイメージを膨らませ、表現力が体に染みつくようにしています。根気よく集中して取り組み、覚えることができた時はこのうえない達成感と充実感があります。それと同時に次はもっと表現力を磨きたい、その次は、みんなで合わせて演奏したい、とすぐに次の目標が浮かびます。部活動を通して、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨する楽しさや喜びを感じています。 時には仲間とぶつかることもありました。そんなときは、納得がいくまで、何度も話し合いをしました。自分の思いや考えを相手に伝え、相手の考えも最後まで聞いて、しっかり向き合うことで時には相手の考えを受け入れることも大切なことだと感じました。また、お互いに思いを伝え合ったからこそ、自分の思い違いに気付くきっかけとなったこともあり、みんなで一つの課題に向き合うことの大切に気づくことができました。それは、一緒に練習し励まし合える仲間達、そしていつも熱心に指導してくださる顧問の先生がいてくれたからです。顧問の先生にはとても感謝しています。演奏するときはいつも「より丁寧に、やわらかい音質で、やわらかい響きで演奏できるように」と教えてくださいます。私は、肩の力がスッと抜けるような穏やかな気持ちになり、演奏することができます。先生は、私に音楽の魅力や楽しさ、音楽への向き合い方、そして仲間と協力することの大切さを教えてくださいました。 あるとき、顧問の先生から「音楽は一つの物語である」と教えていただきました。何度も繰り返し練習することで音楽が自分の物になり、音楽の物語が自分たちのものになっていくことを教えていただきました。だからこそ、演奏を通して人の心を動かすことができた時には、音楽をしてきてよかった、部活動をしてきてよかったという思いがこみ上げてきます。 音楽は私の生活に欠かせないものです。音楽を通していろいろな人と出会い、様々な経験を重ねて成長することができました。自分としっかり向き合い、努力したり苦労したりする経験は必ず自分で人生を歩んでいくための基盤になると思います。自分と向き合い、他者と向き合い、そしてまた自分自身と向き合っていく中で自分が何をしたいのか、そのために何が必要なのか、なりたい自分や自分を見つけていきたいと思います。これからも音楽を続け、音楽とともに歩み、成長し続けていきたいです。
今回は、今年度の校内弁論大会で高等部のアンサンブル部員が発表したものをご紹介します。まずは、前編です。お読みください。 「私にとって『音楽』とは」 私が音楽と出会ったのは、小学1年生の頃でした。母と兄が地域の太鼓の保存会に所属しており、その太鼓の演奏を聴いたことがきっかけです。テレビなどで見る映像や音とは違い、音楽を耳や心、振動から体全体で感じる楽しさ、音そのものを楽しむ感覚、そんな音楽の魅力に一気に引きつけられました。 それから私は小学3年生になり、地域のピアノ教室に通いました。初めの頃は、ドレミも分からず、鍵盤の配置が分かりませんでした。位置が分からないことには演奏はできません。そんなとき、先生から「黒い鍵盤が2本あったらその左下がドだよ。」と教えていただきました。そのアドバイスを元に練習を重ねていくと、どんどんどんどんピアノを弾くことが楽しくなり、音楽に夢中になっていきました。集中して何時間も繰り返し練習したのを覚えています。今では、88鍵盤どこでも分かるようになりました。 小学4年生になってからは、音楽部に入部しました。鉄琴や木琴、ドラムなどいろんな楽器を演奏しました。初めは指で直接触るピアノとは違い、バチを使って演奏する打楽器は、なかなか叩きたい場所にバチを当てることが難しく苦労しました。鍵盤にバチを沿わせながら、鍵盤と鍵盤の間の段差を確認して叩きたいけん盤の真ん中を探りながら練習しました。周りの人より時間がかかってしまうので、みんなが休憩している時間も必死に練習を続けました。時間をかけて練習をしていくと、できることが少しずつ増えていることを実感したときは、とても嬉しく、「練習して良かった、次は他のことにも挑戦してみよう。」という前向きな気持ちになりました。地域の祭りに参加したり、小学校の合同演奏会に出たり様々なステージに立って演奏することができました。音楽は私にとって一番の楽しみであり、生活に彩りを与えてくれました。 中学からは盲学校に入学し、「アンサンブル」との出会いがありました。初めて盲学校のアンサンブル部を見た時、誰も楽譜を見ていないこと、指揮者がいないことにとても驚きました。少ない人数でも迫力のある演奏ができる、「アンサンブル」に心躍らされました。私は迷うことなく、アンサンブル部に入部しました。アンサンブル部での活動は毎日が刺激的でした。…………後編に続く…………