大河くんによるインタビュー記事シリーズ2!対話形式でどうぞ!ーーーーーーーーー「カンパラ焼きって一体どんな食べ物?」 大河 ここまでお好み焼きと貧困との関連性や歴史なども知れたかなと思うんですが、うりさんがウガンダで作られているのはカンパラ焼き。初めて聞く人からすれば「お好み焼きとカンパラ焼きの違いって何なの?」と思われるんじゃないでしょうか?うり それはね、まずお好み焼きという枠の中にカンパラ焼きという一種類があるのよ。(うり主観)うり 例えば今川焼きや明石焼きとか、食べ物にエリアネームを付けるってことがよくあるやんか。それでウガンダの首都であるカンパラの食べ物だけで作るから、『カンパラ焼き』と命名してん。 大河 名称が違うだけでお好み焼きの一種類という訳ですね。であればお好み焼きって具材は名前の通りお好みというか……一応なにかカンパラ焼きも様式みたいなものはあるんですかね?うり その時に地域で採れる安い物を使ってるね、アレンジオッケーやでって現地の人には言ってる。 大河 僕が知ってる中だと粉は日本で一般的に作られるお好み焼きと、うりさんが現地で作られたカンパラ焼きはちょっと違うのかなと。うり 日本ってほら、お好み焼きの原材料って主に小麦粉やん。でもカンパラでは小麦粉が高くて、トウモロコシ粉とキャッサバ粉が安い。現地の人たちはそれを主食にして食べてるので、白トウモロコシ粉をカンパラ焼きの生地にして作ってる。大河 ただうりさん、ウガンダでの活動はカンパラ焼きを単に作って出してあげる……ではないんですよね。 うり そうやね。だから去年いったウガンダでの活動っていうのはさっきも言ってたみたいにただ与えるんじゃなくて。鉄板で焼いて、具材を乗っけてひっくり返してみたいな作り方を教えたのよ。そしたらもう、すぐに大人も子供もワ―キャーって言いながら楽しんでくれてたね。大河 いい光景ですね、その温かさが伝わってきます。うり ウガンダでは皆で鉄板を囲んでご飯を作るって習慣があんまりなくて。だからエキサイティングやと。「めっちゃ楽しい」って、小さい子から大人まで材料なくなるまで焼き続けてて。一大レジャーになってたわ(笑) 大河 活動報告の写真でも年齢に関わらず、皆がすごい笑顔で作ってる場面が写ってましたね。うり もう一か所、『グル』っていう地域でも皆楽しく焼いてたんやけどね。そこは元少年少女兵の施設で。少年少女兵っていうのは、子供の頃に村から連れ去られて人を殺す訓練を受けていた子らで、軍から国連の働きによって解放されて、順に保護されてるっていう施設だったんですよ。うり その子たちって友達もいなくて自分の親も殺しちゃってる。大河 えっ……。うり 一番最初に自分の親を殺しなさいってミッションが与えられる。自分の村を焼いたり、友達を殺したりしてて、その子達は、すごいトラウマを抱えている。そこで職業訓練やメンタルケアを受けて社会復帰をできるようにって日本の NPOが活動をしてくれてる。うり 私が作りに行った時には地元の子も混じっていて。「グル焼き、グル焼き」って地元の子らは楽しくしてるけど、遠くに離れて見てるだけの子がいた。知らない人に対しては怯えているというか。もしかして何か訳ありなのかな?とも思った。大河 なかなかすぐに打ち解けるのは難しそうですね。うり でも現地のスタッフさんが(その子に対して)「一緒にやろうよ」と声をかけてくれて、私も「レッツ、トライ!」ってグル焼きを作ったんよね。最初は上手いことできへんかったけど、何回か繰り返したら綺麗にひっくり返すことができて。その瞬間に周りも「イエーイ!」「上手いじゃん」って歓声が上がって。大河 お好み焼きをひっくり返す瞬間の盛り上がりは、全世界共通なんですね!うり せやねん。それまでその子に笑顔はなかったけど、その瞬間にすごいにっこりと笑ってくれて。「お好み焼きで打ち解けた瞬間がきた!」みたいな感覚があってん。日本の子ども食堂って地域の居場所づくりという機能もあって、その子のできることを増やす、周りに認められるという経験ができる。 大河 うりさんの活動報告で「お好み焼きが世界を救うんちゃう?知らんけど!」と言葉にされていたと思うんです。この話を聞くまでは「いやいや、どう世界を救うねん」と想像がつきませんでした。でもグル焼きをひっくり返した瞬間に皆がわーっと少し打ち解けて、それまで距離をおいてた子がニコっと笑って。それは小さいですけど、間違いなくその子の見てる世界を救った瞬間だと思うんですよね。その小さな救いが色んな場所で広がっていけば、本当にお好み焼きが世界を救うのかもと思わせてくれるお話しでした。今回の記事ではカンパラ焼きの具材やお好み焼きとの違い、そしてウガンダの現状をうりさんにお話しいただきました。 「お好み焼きがウガンダを救うかも」、そう聞いても最初はピンとは来ませんでした。貧困という世界が取り組み続けている課題を自分の活動で変えていく、そんな挑戦はスケールが大きすぎて想像もできません。しかしグルで行った活動、元少年少女兵たちとの一幕を知って私にも少しだけうりさんが見ている景色、そして作りたいワクワクする未来が分かったような気がしました。 カンパラで具材が尽きるまで焼き続けた時間。グルで笑顔を作り出した歓声と一体感。 確かにお好み焼きが、カンパラ焼きがウガンダを変えていくかもしれない。そう思えるだけのパワーがうりさんにはありました。







